ホリグラ

2025/12/24

【焚き火クッキング録】直火・熾火・遠火の使い分けで、料理の失敗が減った話

焚き火クッキング

はじめに──「焚き火ごはん、なんで毎回どこか惜しいんだろう?」

正直に言うと、僕の焚き火クッキング歴は、
「うまいけど、いつもどこか惜しい」の繰り返しでした。

  • 表面はいい感じに焼けているのに、中が冷たいソーセージ
  • 一瞬で黒こげになったトースト
  • 外はパリッと、中はホクホク…になる予定だったのに、ただの水っぽいジャガイモ
  • カレーが温まる前に、鍋底だけグツグツ言い出す

キャンプの写真だけ見ると、
「焚き火で料理してるなんて、絶対うまいやつじゃん!」
と言われるのですが、
実際に食べている本人は、
「いや…うまいんだけど…なんかもうひと押し足りないんだよな…」
とモヤモヤしていることが多かったんです。

ある夜、焚き火の前でうまくいかなかったチキンステーキをつつきながら、
ふと気づきました。
「そもそも、“火の種類”のことをちゃんと分かっていないんじゃないか?」

この日を境に、
僕の焚き火クッキングは「なんとなく火にかける」段階から、
「直火・熾火・遠火を意識して使い分ける」段階へ
一段、ギアが上がりました。

結果として、

  • 肉は中までしっかり火が通る
  • 焼きおにぎりは、表面カリッと中ふっくら
  • ホイル焼きも、焦げすぎずちょうどいい香ばしさ

と、“惜しいライン”からちゃんと抜け出せた実感があります。
今回は、そんな僕の
「直火・熾火・遠火の使い分けで、料理の失敗が減った話」
達人キャンパーの日記風にまとめてみます。

1. 「直火・熾火・遠火」を知らなかった頃にやらかしていたこと

1-1. なんでも“焚き火の一番熱いところ”に突っ込んでいた昔の僕

焚き火クッキングを始めたばかりの頃の僕は、とにかく単純でした。

  • 大きな炎=強い火力=よく焼けそう
  • 鍋やフライパンは、とりあえず炎の真上に置く
  • 弱い火=時間がかかる=なんか損した気分

そんな考え方で、
「とりあえず炎の一番強い場所に突っ込んでおけばOK」
と思っていたんです。

結果、

  • トーストは表面だけ一瞬で真っ黒
  • ソーセージは皮だけパンパン、中は冷たい
  • スキレットのチキンは、外はカリッと中生焼け

見た目は、写真だけなら映えるんです。
でも、かじった瞬間に襲ってくる「惜しい感」。

「焚き火で焼いた」という満足感と、
「ちゃんとおいしく仕上がった」という満足感は別物なんだと、
このあたりで薄々気づき始めます。

1-2. 火力の“調整方法”を、薪の本数でしか考えていなかった

もうひとつの失敗は、火力調整の考え方です。
僕の頭の中の火力調整は、ずっとこの2択でした。

  • 強すぎたら薪を減らす
  • 弱くなったら薪を足す

ただそれだけ。
その結果、

  • 薪を足した瞬間、急にボーボー燃え上がる
  • 慌てて鍋をどかす → 火をいじる → また鍋を戻す → 焦げる
  • 調理している時間より、火と格闘している時間のほうが長い

「焚き火で落ち着いて料理する」というより、
常に火の機嫌をなだめている係みたいになっていました。

1-3. 「火の状態」が3種類ある、なんて考えたこともなかった

そんなある夜、
焚き火仲間のベテランキャンパーが、
コーヒーを飲みながらさらっとこんなことを言いました。

「同じ焚き火でもさ、
“直火・熾火・遠火”の3種類の火をどう使うかで
料理の仕上がりって全然変わるよ。」

この一言で、
「あ、今まで“火の種類”という発想がゼロだった…」
と、目からウロコが落ちました。

その日を境に、
「とりあえず一番熱いところに置く」から卒業して、
「この料理はどの火でやるべきか?」を考えるようになったのが、
僕の焚き火クッキング転機のスタートでした。

2. 直火・熾火・遠火ってそもそも何?それぞれの“キャラ”を理解する

まずは整理のために、
焚き火クッキングでよく使うこの3つの火の状態を、
僕なりの言葉でざっくりまとめておきます。

2-1. 直火(じかび)──「炎そのもの」と付き合う、一番ワイルドな火

直火は、
読んで字のごとく「炎そのものを当てる火」。

  • 炎が立ち上がっている
  • メラメラと形が変わり続けている
  • 鍋や網を置くと、すぐにジュッと音がする

特徴:

  • 立ち上がりが早い(温まるのが速い)
  • 表面を一気に焼きたいとき向き
  • 反面、焦げやすく、火加減のコントロールが難しい
  • 風の影響をモロに受ける

向いているもの:

  • お湯を沸かす(ケトル・クッカー)
  • 中まで火が通っているものを温めなおす(缶詰・レトルトなど)
  • 表面だけ炙りたいもの(マシュマロ、炙りチーズ、炙りベーコン)
  • 強烈な香ばしさがほしい“仕上げ”のひと炙り

向いていないもの:

  • 厚みのある肉
  • ジャガイモなど、火の通りに時間がかかるもの
  • 焼きおにぎり(中心が冷たいままになりがち)

「直火はかっこいいけど、主役じゃなくて“スパイス”」
今はそう思っています。

2-2. 熾火(おきび)──焚き火料理の“主役”になれる安定した火

熾火は、炎の勢いがおさまり、
薪や炭が赤くじんわり光っている状態の火です。

  • パチパチという音が落ち着いてくる
  • 炎は小さく、もしくはほとんど立っていない
  • 手をかざすと、じんわり強い熱を感じる

特徴:

  • 熱が安定している
  • 焦げにくく、中までじっくり火が通る
  • “焼く・炙る・ホイル焼き”のメインステージ
  • 調理中に薪を足しても、火力の変動がそこまで激しくない

向いているもの:

  • 鶏モモ肉のステーキ
  • 厚切りベーコン、ソーセージ
  • 焼きおにぎり
  • ホイル焼き(魚・野菜・キノコ・じゃがいも)
  • トースト(最後だけ直火で焼き色をプラス)

焚き火クッキングで「ちゃんとうまい」を狙うなら、
熾火をどう作ってどうキープするかが勝負どころだと感じています。

2-3. 遠火(とおび)──“焦がしたくないもの”を守ってくれるやさしい火

遠火は、
直火や熾火から距離を取った位置で受ける熱です。

  • 焚き火台の端っこ
  • 炎の横
  • 高めのゴトクを使った位置

特徴:

  • 焦げにくい
  • じっくり温めたいときに向く
  • 「保温」と「弱火調理」の中間のような存在
  • “置きっぱなしにしておける料理”と相性がいい

向いているもの:

  • カレーやシチューの保温&軽い煮込み
  • チーズ系料理(焦げやすい)
  • パン・クロワッサンの温め直し
  • デザート系(焼きリンゴ、焼きバナナなど)
  • すでに火が通っているものを「冷まさずキープ」したいとき

遠火をうまく使えるようになると、
「鍋を下ろしたら冷める」「置きっぱなしにしたら焦げる」の二択から解放されて、
焚き火の前での時間にぐっと余裕が出てきます。

3. 僕の焚き火クッキング録:1日の流れで見る「火の使い分け」

ここからは、
実際のキャンプの一日を切り取って、

  • 朝ごはん
  • 昼の軽食
  • 夜のメインディナー

それぞれで、
直火・熾火・遠火をどう使い分けたかを、日記風に振り返ってみます。

3-1. 朝ごはん編──「トースト地獄」からの脱出

■ 焦がした朝の記憶

ある朝、僕は「焚き火トースト」に憧れていました。

  • 厚切りパン
  • とろけるチーズ
  • 上にはハム
  • 横には焚き火で沸かしたコーヒー

これを焚き火でこんがり焼いて、
澄んだ空気の中で頬張る…
そんな最高の朝をイメージしていました。

ところが現実は、

  • 表面:真っ黒
  • 裏側:まだ白い
  • チーズ:一部だけドロドロ、端は固いまま

という、「インスタには上げないやつ」が完成しました。
原因はもちろん、直火まかせ。
「焚き火=炎の真上で焼くもの」
という固定観念が強すぎて、
“パンらしさ”を完全に無視した焼き方をしていたわけです。

■ それ以降の、僕の朝トーストルール

この日以来、朝のトーストは
「直火1発勝負」から「遠火+熾火で育てる」スタイルに変更しました。
流れはこんな感じです。

  • まずは熾火ゾーンを少し育てておく
  • 朝一は火が安定しにくいので、細めの薪でちゃちゃっと熾をつくる
  • パンは“熾火の横の遠火”に置く
  • メッシュ網 or スキレットの上で、じわじわ温める
  • チーズトーストなら、最初から具材を全部乗せてOK
  • 下側がふんわり温まったら、熾火の上で“中火トースト”
  • 焦げないよう、ときどき位置をずらす
  • 最後の10〜20秒だけ、直火寄りで焼き色をプラス
  • 「あ、いい色になってきた」と思った瞬間に、すぐ遠火に退避

これだけで、

  • 全体はふんわり
  • 表面だけカリッ
  • チーズはとろ〜り

という、写真映え+本当にうまいトーストになりました。
朝はどうしてもバタバタしがちですが、
「直火を封印して、遠火と熾火だけでやる」と決めるだけでも、
失敗はかなり減ります。

3-2. 昼の軽食編──ソーセージは「直火で終わらせない」

■ 直火オンリーだと、どうしても“表面勝ち”になる

昼は、片付けもラクにしたいので、
ソーセージと軽いおつまみで済ませることが多いのですが、
ここにも典型的な失敗があります。

  • 見た目はパリッと焼けている
  • かじると、中がまだぬるい
  • もしくは「中まで熱いけど、水分が抜けてパサパサ」

ソーセージのような“詰まったもの”を、
直火だけで仕上げるのは意外と難しいんですよね。

■ 僕が落ち着いた、ソーセージの「三段階方式」

ソーセージは、

  • 遠火で“中身をじんわり温める”
  • 熾火で“中までしっかり火を通す”
  • 直火で“皮をパリッとさせる”

という三段階方式に落ち着きました。

ざっくり時間の目安(太めのソーセージの場合):

  • 遠火:5分前後(ときどき転がしながら全体を温める)
  • 熾火:5〜7分(じっくり中まで火を通す)
  • 直火:30秒〜1分(表面に焦げ目をつけるだけ)

特に、“熾火パート”の時に、
ソーセージから脂がじんわりにじみ出てくる感じがたまりません。

「パンッと破裂させる」より、
「ギリギリのところでパリッと仕上げる」
これができるようになると、
焚き火ソーセージの満足度が一段階上がります。

3-3. 夜のメイン編──チキンステーキとホイル焼きの“同時進行”

■ ある秋キャンプの夜のメニュー

ある秋の夜、
こんなメニューで「焚き火ディナーの日」をやりました。

  • 鶏モモ肉のスキレットステーキ
  • キノコとバターのホイル焼き
  • じゃがいものホイル焼き
  • バゲットのトースト

ここで、直火・熾火・遠火の使い分けが
かなりキレイにハマったので、流れを細かく書いてみます。

■ ステップ①:最初の30分は「熾火づくり」に徹する

夜のメイン料理は、
最初に「熾火ゾーン」をどれだけ作り込めるかで決まる
と言っても大げさではありません。

  • 最初の30〜40分は、あえて「調理を始めない」
  • 細〜中くらいの薪で一度しっかり燃やしきる
  • 焚き火台の片側には“炎ゾーン”、反対側には“熾火ゾーン”ができるよう意識して薪を配置

この「準備の時間」をケチると、
必ずどこかでこうなります。
「あ、火弱くなってきた…」
「今足したら、炎が上がって料理が焦げそう…」

結果、鍋を上げたり下ろしたりで、
落ち着かない夜に。
熾火がたっぷりある夜は、
料理中の心の余裕がまったく違います。

■ ステップ②:ホイル焼きは“熾火の脇”に置いて放置する

  • キノコ&バターのホイル焼き
  • じゃがいものホイル焼き

これらは、熾火ゾーンの端っこ〜その外側あたりがベストポジションです。

  • 熾火のド真ん中 → 火力が強すぎて、底面だけ焦げる
  • 遠火すぎ → いつまでたっても火が通らない

なので、

  • 熾火の端にホイルをそっと置く
  • 10〜15分に一度、位置を少しだけずらす
  • ホイルがパンパンに膨らんで、バターと食材の香りが漏れてきたら“そろそろ”の合図

という、オーブンに入れっぱなしのイメージで扱います。

■ ステップ③:チキンステーキは「皮:熾火」「中:遠火」「仕上げ:直火」

チキンステーキは、
皮から焼き始めるのが鉄則です。

  • 熾火ゾーンの上にスキレットを置く
  • 皮目を下にして、中火〜強めの熾火でじっくり焼く
  • 皮が音を立て始めたら、位置を少し遠火寄りにずらす
  • ある程度脂が出てきたら、スプーンで脂をかけながら焼く
  • 最後に、スキレットごと「直火寄り」に数十秒だけ寄せて香ばしさをプラス

ここで頼りになるのが、音です。

  • 「ジュ〜〜」:水分が抜けている段階(中火寄り)
  • 「パチパチ」:脂が跳ねている段階(強火寄り)

パチパチ音が激しくなりすぎたら、
火が強すぎるサインなので、
少し遠火に逃がして“揚げすぎ”を防ぎます。

熾火の作り方や薪の扱いは、
「薪はどれくらい買えば足りるのか」問題ともつながってきます。
そのあたりを、別の記事でかなり細かく書いています。

『一晩の焚き火で薪は何束必要?中級キャンパーのリアルな使用量目安』

4. メニュー別・直火/熾火/遠火のざっくりマッピング

ここで一度、
焚き火クッキングでよく登場するメニューたちを、
どの火と相性がいいかざっくり整理しておきます。

4-1. 直火と仲良しなメニュー

  • お湯を沸かす(コーヒー、カップスープ、インスタントラーメン)
  • 缶詰を温める(サバ缶、焼き鳥缶、カレー缶など)
  • 最後の仕上げの炙り(チーズ、ベーコン、マシュマロ)
  • 焚き火でスモア作るときの“マシュマロ一瞬炙り”

ポイント:
直火は「序盤の立ち上げ」と「最後のひと押し」に使うと安定します。

4-2. 熾火と相性がいいメイン料理たち

  • チキンステーキ(皮パリ系)
  • 厚切りベーコン
  • ソーセージ(太めのもの)
  • 焼きおにぎり
  • ジャガイモ・サツマイモのホイル焼き
  • エリンギ・シイタケ・マッシュルームのホイル焼き
  • 塩サバ・ホッケなどの魚の“焼き魚”

ポイント:
「外カリッ」「中ジューシー」を狙うなら、まず熾火と仲良くなるのが近道です。

4-3. 遠火と仲良しな“のんびり系”メニュー

  • カレー・シチューの“保温しながら少しずつ煮詰める”タイム
  • 焼きリンゴ・焼きバナナなどのデザート
  • すでに炊けているご飯を温め直す
  • クロワッサン、ロールパンの温め
  • チーズフォンデュ的な“とろとろ系”

ポイント:
遠火は、「ほっといても大失敗しにくい火」です。
キャンプで“手を離せる料理”の安心感をくれます。

5. 実際どうやって「直火・熾火・遠火ゾーン」を作り分けるか

ここからは、
焚き火台の上で具体的にどうゾーンを作るかの話です。

5-1. 焚き火台の中を“3つのエリア”として見る

僕はいつも、焚き火台の中をざっくりこう分けています。

  • 炎ゾーン(直火ゾーン)
  • 熾火ゾーン(メイン調理ゾーン)
  • 端っこや高いゴトク(遠火ゾーン)

薪を入れるときも、

  • 炎を維持したい場所に太めの薪を足す
  • 熾火ゾーンには、しばらく燃えていた薪をかき集める
  • 遠火ゾーンは、あえて灰だけ or ごく薄く熾火がある状態にしておく

という感じで、
“ゾーンごとに役割を与える”イメージで火を育てていきます。

5-2. 薪の太さと置く位置で、火の性格を変える

  • 太い薪:長時間燃える/炎を立てやすい(直火要員)
  • 中くらいの薪:熾火を育てやすい
  • 細い薪・枝:一気に燃え上がる/火力調整の微調整用

なので、

  • 直火ゾーン → 太めの薪をメインに、時々細い薪で勢いをプラス
  • 熾火ゾーン → よく燃えた薪を寄せて、そこに中くらいの薪を足しておく
  • 遠火ゾーン → ほぼ薪は置かず、熾火と灰の“熱だけ”を借りる

同じ焚き火台でも、
「火のキャラ」を分けて使えるようになると、
クッキングの自由度が一気に広がります。

5-3. ゴトクやスキレットの高さで「なんちゃって弱火」を作る

火からの距離=火力です。

  • 焚き火台の高さが低くても、ゴトクで鍋を持ち上げれば“遠火寄り”に
  • 直火ゾーンでも、高さを稼げば「中火〜弱火」相当に

高さ違いのゴトクが1つあるだけで、焚き火クッキングの自由度が桁違いに上がります。

6. 「視覚・音・体感」で火加減を読む小さなコツ

温度計があれば一番ですが、
焚き火クッキングは基本“アナログ勝負”です。
そこで頼りになるのが、目・耳・手の感覚。

6-1. 手をかざして「何秒耐えられるかテスト」

焚き火の上に手をかざして、

  • 3秒で限界 → 強火
  • 5秒くらい → 中火
  • 7秒以上 → 弱火〜遠火

という超ざっくり指標で見ています。
※やけどには注意。
火の真上ではなく、少し横にずらした位置で試すのがポイントです。

6-2. 色で見分ける「直火・熾火・遠火」

  • 黄色〜オレンジの揺れる炎:直火
  • 赤〜オレンジにじんわり光る炭:良い熾火
  • 赤みが薄くなってきた灰色ゾーン:遠火

「今、この焚き火台の中で“一番おいしそうなエリア”はどこか」
を目で探すクセをつけると、自然と火の使い方が変わってきます。

6-3. 音で分かる「焼けすぎサイン」

  • ジュ〜:水分が抜けている段階(中火)
  • パチパチ:脂が跳ねている段階(強火寄り)

この「パチパチ」が激しくなってきたら、
一度遠火に避難させるサインだと覚えておくと便利です。

ちなみに、火起こしの段階でモタつくと、
そもそもの“良い熾火”ゾーンが育ちません。
着火〜熾火づくりのコツは、別の日にかなり細かく実験してみました。

『着火剤に頼りすぎない火起こしのコツ。最低限これだけできれば安心』

7. 焚き火クッキングをラクにする「事前準備」と「ギア選び」

直火・熾火・遠火を意識すると、
自然と「どんな焚き火台・ギア構成だとやりやすいか」が見えてきます。

7-1. 料理と相性のいい焚き火台の特徴

  • 火床がフラットで、熾火を片側に寄せやすい
  • 横に長いレイアウトで、“炎ゾーン”と“熾火ゾーン”を分けやすい
  • ゴトクを置きやすい形状(段差・出っ張りが少ない)

見た目がおしゃれ、軽い、という要素も大事ですが、
「火のゾーンを作れるかどうか」という視点が入ると、
焚き火台選びの目線が少し変わってきます。

7-2. ゴトクは“高さ違い”を一つ持っておくと世界が変わる

  • 低いゴトク:熾火との距離が近く、ステーキなど“ガッツリ焼き”用
  • 中くらい:フライパン・スキレットの基本ポジション
  • 高い:カレーやスープ、保温したい鍋用

これを1つのギアで兼ねてくれる調整式ゴトクもありますし、
僕は「低いゴトク+高いゴトク」の2段構成にして、
状況に応じて入れ替えています。

7-3. スキレットと網、それぞれの“役割分担”

スキレット/フライパン:
→ 熾火〜遠火で「じっくり焼く/煮る/蒸し焼きにする」

網:
→ 直火〜熾火で「焼き目をつける/炙る」

役割を分けておくと、
「この料理は、まずスキレットで熾火→最後に網で直火」
など、火の段取りを考えやすくなります。

8. 1泊2日の「焚き火クッキング+火の使い分け」タイムライン例

イメージが湧きやすいように、
実際にやってみてしっくりきた
1泊2日の焚き火クッキングのタイムラインをまとめてみます。

■ 1日目・昼過ぎ〜夕方

  • 到着・設営
  • 焚き火台設置&着火
  • コーヒー用のお湯:直火でサッと沸かす
  • その間に熾火ゾーンが少しずつ育つ

■ 1日目・夕方〜夜(メインディナー)

  • 太めの薪を追加 → 熾火ゾーンをガッツリ育てる
  • ホイル焼き(じゃがいも・キノコ):熾火ゾーンの脇に配置
  • スキレットでチキンステーキ:熾火ゾーンで皮目から
  • バゲット:遠火で温め→最後だけ直火で焼き色

ここでは、熾火が圧倒的主役。
直火は“チラッと焼き色をつける係”くらいです。

■ 1日目・夜更け

  • 食後のコーヒー:また直火でお湯を沸かす
  • 焼きマシュマロ:直火寄りで一瞬炙って、遠火で様子見

ここは「ほぼ遊び」なので、
あえて直火メインでOKな時間帯です。

■ 2日目・朝

  • 昨夜の熾火の残りに細い薪を足し、火を起こし直す
  • 熾火+遠火でチーズトーストとベーコン
  • ケトルは直火でさっとお湯を沸かす

このタイムラインで動くと、
「直火・熾火・遠火の出番」が一日を通してバランスよく巡る感じになります。

9. よくある「焚き火クッキングのモヤモヤ」と、その解消法

最後に、僕自身や周りのキャンパーがよく口にする
“焚き火クッキングのモヤモヤ”を、
直火・熾火・遠火の視点で整理しておきます。

9-1. Q. 「なんかいつも、どこか焦げる」問題

A. ほぼ間違いなく「直火の当たりすぎ」です。

  • 一度熾火ゾーンに逃がして様子を見る
  • 鍋底だけが焦げているなら、高いゴトクに変更する
  • 「直火は仕上げだけ」と割り切ると、かなり改善します

9-2. Q. 「中まで火が通っているか不安」問題

A. 「遠火→熾火→直火」の順番を意識すると安心感が増します。

  • まず遠火で“中まで温める”
  • 次に熾火で“中までしっかり火を通す”
  • 最後に直火で“香ばしさだけを足す”

厚みのある肉やじゃがいもは、
“外から焼こうとする”のではなく、“中身を温めてから仕上げる”感覚で。

9-3. Q. 「火加減が安定しない」問題

A. 火をいじるタイミングと薪の足し方を変えてみてください。

  • メイン調理の“直前”に熾火をしっかり育てておく
  • 調理中は、太い薪を足さない(どうしても足すなら炎ゾーン側に)
  • 料理中の火力アップは、細い薪を1〜2本足す程度にとどめる

火が安定しないキャンプは、
だいたい「薪を足すタイミングが雑」なことが多いです。

おわりに──火を見分けられるようになると、焚き火がもっと自由になる

直火・熾火・遠火の使い分けを意識し始めてから、
僕の焚き火クッキングは、劇的に“楽”になりました。

  • 焦げたらどうしよう、とビクビクしなくなった
  • 中まで火が通っているか不安で、何度も切って確かめなくてよくなった
  • 「今日はこの火加減でこの料理をやろう」と、段取りを考えるのが楽しくなった

そして何より、
「焚き火を眺める時間」と
「焚き火で料理をする時間」が、
ちゃんと両立するようになった
というのが、いちばんの変化かもしれません。

以前は、
火の管理に追われすぎて、
ゆっくり炎を見る余裕がありませんでした。

今は、

  • 直火でお湯を沸かしつつ
  • 熾火でメインをじっくり焼きながら
  • 遠火に置いた鍋でスープを温めておき
  • その合間に、ただ炎を眺めて深呼吸する

そんな、焚き火と料理と時間の流れが、いいバランスで混ざり合った夜を
過ごせるようになっています。

もし今、あなたの焚き火クッキングが

  • なんかいつも焦げ気味
  • なんかいつも中が不安
  • なんか落ち着かない

そんな状態なら、
ぜひ一度、
「これは直火向き?」
「これは熾火でやるべき?」
「これは遠火でのんびり?」
と、火の種類から逆算してメニューと段取りを組んでみてください。

きっと、
同じ食材、同じ焚き火台でも、
“おいしさ”と“余裕”の両方が、一段階レベルアップした夜になるはずです。

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