焚き火ブログ

2026/09/03

焚き火台の溶接の継ぎ目はなぜ目立たない?製造工程を解説

焚き火台の溶接の継ぎ目はなぜ目立たない?製造工程を解説

和柄の焚き火台を正面から見たとき、どこかに継ぎ目があるはずだと思って探しても、すぐには見つからないことがあります。

円筒の形をしている以上、合わせ目は必ずどこかに存在します。それが目立たないのは、柄を切り抜く前の段階から合わせ目の位置を織り込んで作っているからです。側面パネルがどういう工程を通ってできているのかを整理します。

作成者 富士ゴム化成株式会社 営業部/Holy Ground 会社概要

作成日 2026年9月3日 最終更新日 2026年9月3日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約7分

焚き火台の側面は、どうやって作られていますか?

細長い一枚の鉄板から作ります。Holy Groundのφ450モデルでは165mm×1413mm×3.2mm厚の鉄板にレーザー加工で柄を切り抜き、曲げ加工で円筒にしたうえで合わせ目を溶接しています。

鉄板の切り出し、レーザー加工、曲げ加工、合わせ溶接という4つの工程を示す図 図1 側面パネルができるまでの4工程 STEP 1 板を切り出す 165×1413mm 厚さ3.2mm STEP 2 柄を切り抜く レーザー加工 1mm単位の線も STEP 3 円筒に曲げる 平らな板を 丸める STEP 4 合わせ目を溶接 絵が途切れない 位置で接合 柄を入れるのは平らな状態のうちです。曲げるのはそのあとになります。 工程は2026年8月時点で公式サイトに掲載されている内容にもとづきます。 出典:Holy Ground 公式サイト ブランドコンセプト・商品ページ(2026年8月24日確認)

平らなうちに柄を入れる理由

円筒に曲げてから柄を切り抜こうとすると、加工する面が曲がっている状態で線を引くことになります。平らな板の段階で加工しておけば、設計した図面のとおりに線が入ります。そのあとで曲げるため、柄は円筒の面に沿って自然に回り込む形になります。見る角度によって表情が変わるのは、平面に描かれた絵が曲面に置き換わったことによるものでもあります。正面から見えている部分と、側面へ回り込んで見えなくなる部分が、立つ位置によって入れ替わっていきます。これは平らな板に描かれた絵では起こらない見え方です。

出典:側面パネルの寸法と加工の説明はブランドコンセプトおよび荒魂の商品ページの記載(2026年8月時点)。

なぜ継ぎ目が目立たないのですか?

合わせた箇所でデザインが途切れないように作っているからです。公式サイトでは、溶接箇所がほとんど分からないように製作していると説明しています。継ぎ目の位置は、絵を構成する段階から決まっています。

一枚絵には、継ぎ目を隠す逃げ道がない

繰り返しのパターン柄であれば、単位と単位の境目に継ぎ目を合わせるという手が使えます。柄が繰り返している以上、そこで切れても違和感が出にくいためです。一枚絵の場合、そのやり方が使えません。絵のどこに継ぎ目が来ても、そこで線が食い違えば分かってしまいます。だからこそ、絵を描く段階から合わせ目をどこに置くかが問題になります。線が集まっている場所を避けるのか、あえて線の上で合わせて連続させるのか。どちらを選ぶかで、仕上がりの見え方は変わります。

パターン柄と一枚絵で、継ぎ目をどう処理できるかの違いを2列で対比した図 図2 継ぎ目の扱いが変わる理由 一枚絵 パターン柄 絵のどこで切れても分かる 継ぎ目の位置を先に決める 線が食い違うと成立しない 面の全体で1つの絵 単位の境目に合わせられる 繰り返しが違和感を吸収する どこで切っても柄になる 単位の反復で面を埋める 一枚絵は逃げ道がないぶん、合わせ目の精度が仕上がりに直結します。 文様の作り方一般についての説明であり、特定の他社製品を指すものではありません。 出典:Holy Ground 公式サイト ブランドコンセプト(2026年8月24日確認)

レーザー加工では、どこまで細かくできますか?

当社が公開しているのは、1mm単位の細かな柄もあるという点までです。ここまで細かい金属加工を施すと、加工にかかる費用は大きくなります。

細ければ細かいほど良いわけではない

切り抜く線を増やせば、そのぶん材料は減ります。また抜けた部分は空気の通り道になりますので、抜きすぎれば火の勢いが変わります。逆に抜かなければ空気が入りません。柄の細かさは意匠の問題であると同時に、燃え方に関わる設計上の条件でもあります。ただし柄ごとの燃焼を比較して測定した資料はありませんので、どの柄がよく燃えるといった順位付けはいたしかねます。

1ミリ単位の細かな線から1413ミリの板の長さまで、加工のスケールの幅を示す図 図3 加工の線の細かさと、板の長さ 1mm 1413mm 左が切り抜く線の細かさ、右が側面パネル1枚の長さです。この幅のなかで絵が構成されています。 1mm単位の柄は開発責任者へのヒアリングにもとづく記載です。全モデルの全ての柄がこの細さという意味ではありません。 出典:Holy Ground 公式サイト/開発責任者ヒアリング(2026年4月・8月確認)

焚き火のルールは場所によって異なります。直火の可否、薪の持ち込み、使用できる時間帯などは、利用されるキャンプ場や自治体の定めに従ってください。

出典:レーザー加工と1mm単位の柄については、Holy Ground開発責任者へのヒアリング(2026年4月)にもとづく記載。

工程の違いは、使うときに影響しますか?

影響するのは主に2点です。ひとつは側面パネルが交換できないこと、もうひとつは柄の見え方が見る角度によって変わることです。どちらも一枚の板から作っていることの帰結です。

部位 構造 交換の可否
側面パネル一枚の鉄板を円筒に曲げて合わせ溶接交換部品の設定なし
底板取手付きの受け皿式(円周にリブ)取替え用底板あり
着脱式(M12ネジ込み)ロング脚あり

出典:各商品ページの「商品の仕様」欄(2026年8月時点)。詳細は取替え用底板ロング脚の商品ページをご覧ください。

交換できない部分だからこそ、傷ませない

側面が交換できないということは、ここを長く使えるかどうかが一台の寿命を決めるということです。底板と脚が交換できる構成になっているのは、傷みやすい部分を先に受け持たせるためでもあります。灰を残したままにしない、乾かしてからしまうといった扱いは、結果として側面を守ることにつながります。底板が傷んだら交換する、脚がぐらついたら締め直すか替える。そうやって手を入れられる部分を先に直しておけば、交換できない側面に負担が回りにくくなります。

加工の精度は、どこに現れますか?

見た目でいちばん分かりやすいのは合わせ目ですが、それ以外にも工程の丁寧さが出る箇所があります。柄の線の端、脚を留めるネジ穴、底板と本体の当たり方の3つです。

01柄の線の端 切り抜きの始点と終点が滑らかにつながっているかを見ます。

02ネジ穴 Holy Groundの脚はM12のネジ込み式です。まっすぐ入るかどうかで加工の精度が分かります。

03底板の収まり 受け皿を落としたときに、がたつかずに座るかを確かめます。

04合わせ目 柄の線が継ぎ目をまたいで連続しているかを見ます。

いずれも、店頭やイベントで実物に触れられる機会があれば確かめておきたい箇所です。写真では分かりにくい部分でもあります。通信販売で購入される場合は、商品ページに掲載されている寸法と仕様を先に押さえておくと、届いてからの確認がしやすくなります。どこを見ればよいかが分かっていれば、開封してすぐに状態を把握できます。

お手元の焚き火台は、どういう作りですか?

作り方の違いは、買ったあとに気づくことが多い部分です。下のチェックは診断ではなく、手元の一台がどういう構造なのかを確かめるためのものです。

構造セルフチェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個組み立て式や一体成形など、別の作り方の製品かもしれません。
2〜3個一部が分解できる構造です。どこが交換できるかを確認しておくと長く使えます。
4〜6個一枚絵と分解構造の両方を備えた作りです。側面を傷ませない扱いを心がけてください。

製造について、よくいただくご質問は?

作り方に関するご質問をまとめました。仕様は変更される場合がありますので、ご検討の際は各商品ページの最新の記載をご確認ください。

継ぎ目はどこにあるのですか?
側面を円筒にした際の合わせ目が1か所あります。公式サイトでは、合わせた箇所でデザインが途切れないよう、溶接箇所がほとんど分からないように製作していると説明しています。位置を探して見つけられるかどうかは、柄と光の当たり方によって変わります。火を入れた状態では、抜けた部分から漏れる光のほうが目立つため、さらに分かりにくくなります。

溶接した部分は弱くなりませんか?
溶接部の強度を当社が数値で測定した資料はありませんので、「弱くならない」とも「弱くなる」とも申し上げられません。お伝えできるのは、合わせ溶接という工法を用いていることと、φ450モデルの板厚が3.2mmであるという事実です。

なぜ複数の板を組み合わせないのですか?
側面が一枚絵として構成されているためです。板を分ければ、その境目で絵が分断されます。一枚の鉄板から作ることで、絵を面の全体で成立させています。

曲げ加工で柄が歪んだりしませんか?
曲げは切り抜きのあとに行いますので、平らな状態で加工した柄が円筒の形に沿うことになります。当社として歪みの量を測定した資料はありませんが、仕上がりは各商品ページの写真でご確認いただけます。

側面だけ交換することはできますか?
できません。側面パネルは一枚の鉄板から成形しているため、交換部品の設定がありません。一方で底板と脚は取り外せる構造で、それぞれ交換用の部品を用意しています。

この作り方は、何のためのものですか?

継ぎ目を目立たせないことも、一枚の板から作ることも、それ自体が目的ではありません。何を見せたくてこの形になったのかは、開発の経緯にまとめています。

一枚絵の焚き火台が生まれた経緯を読む

何を目指して和柄の焚き火台を作ったのか、どういう反響があったのかをまとめています。

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